SOTP分析とは?フィックスターズを実例に企業価値を事業別で試算

フィックスターズのSOTP分析による3シナリオ比較 銘柄分析
30秒で分かるこの記事の結論

結論簡易SOTPでは1株約2,430~2,530円、標準ケースは約2,470円となりました。

注目点Solution事業が成長と高い利益率を維持し、利益の20倍で評価できるか。

最大のリスク成長鈍化による評価倍率の低下と、SaaS事業の赤字長期化です。

私の判断20倍を妥当と考えるなら比較用株価2,184円には上昇余地がありますが、試算値をそのまま目標株価にはしません。

複数の事業を展開する企業では、会社全体のPERだけを見ても、本来の価値を判断しにくいことがあります。

そこで使われるのが「SOTP分析」です。

SOTPは「Sum of the Parts」の略で、それぞれの事業価値を個別に計算し、最後に合計して企業全体の価値を求める方法です。

今回はフィックスターズを例に、実際の決算数値を使いながら、株式投資でSOTP分析をどのように使うのかを分かりやすく解説します。

この記事の試算は企業価値を正確に算定するものではありません。評価倍率によって結果が変わるため、株価を考えるための一つの目安としてご覧ください。

SOTP分析で事業価値を合計して株主価値を求める仕組み

フィックスターズの事業を2つに分けて考える

フィックスターズの事業は、大きく次の2つに分けられます。

  • Solution事業
  • SaaS事業

Solution事業は、顧客企業のソフトウェア高速化やAI・半導体関連の技術支援などを行う、現在の主力事業です。

一方、SaaS事業は将来の成長を期待して先行投資を行っている段階です。現時点では赤字ですが、Solution事業とは成長段階も収益構造も異なります。

この2事業を同じ利益倍率で評価するよりも、それぞれに適した方法で価値を考えるほうが、フィックスターズの特徴を捉えやすくなります。

フィックスターズのSolution事業とSaaS事業の業績比較

今回のSOTP分析で使用する前提

今回の簡易試算では、直近の決算資料をもとに次の数値を使用します。

評価項目使用する数値評価方法
Solution事業の利益約35.26億円利益の20倍
SaaS事業の売上高約6.35億円売上高の3~8倍
現金・負債などの調整約60.4億円事業価値に加算
発行済株式数の概算約3,230万株1株価値の計算に使用

Solution事業には20倍を適用します。フィックスターズの技術力、利益率、AI・半導体分野での成長可能性を考慮すれば、一定のプレミアムを含んだ評価を検討できると考えたためです。

ただし、この20倍という前提が今回のSOTP分析で最も重要です。成長鈍化などによって適用倍率が引き下げられれば、算定価値も大きく低下します。

標準ケースでは1株約2,470円

標準ケースでは、SaaS事業の売上高に5倍を適用します。

Solution事業

約35.26億円 × 20倍 = 約705.2億円

SaaS事業

約6.35億円 × 5倍 = 約31.8億円

株主価値

約705.2億円+約31.8億円+約60.4億円 = 約797.3億円

これを約3,230万株で割ると、1株あたりの価値は約2,470円となります。

フィックスターズの標準ケースSOTP試算

SaaS事業の評価を変えるとどうなるか

赤字のSaaS事業には不確実性があるため、売上高倍率を3倍・5倍・8倍に分けて試算しました。

シナリオSaaS事業の倍率株主価値1株価値比較用株価2,184円との差
弱気3倍約784.6億円約2,430円約11.2%
標準5倍約797.3億円約2,470円約13.0%
強気8倍約816.3億円約2,530円約15.7%

SaaS事業の倍率を3倍から8倍まで動かしても、1株価値は約2,430~2,530円の範囲です。

つまり、今回の試算ではSaaS事業の評価よりも、利益規模の大きいSolution事業を20倍で評価できるかどうかのほうが、結論に大きく影響します。

フィックスターズのSOTP分析による3シナリオ比較

株価2,184円には何倍程度が織り込まれているか

比較用株価を2,184円とすると、SaaS事業と現金等の価値を差し引いたSolution事業の評価倍率は、おおむね17倍前後になります。

一方、今回のSOTP分析ではSolution事業に20倍を適用しました。そのため、「Solution事業を20倍で評価できる」と考えるなら、株価2,184円には一定の上昇余地が残っている計算です。

反対に、今後の成長率や利益率を考えると17倍程度が妥当だと判断する場合、現在の株価はおおむね適正水準と捉えることもできます。

この試算で注意したい点

  • Solution事業の成長率が鈍化すると、20倍の維持は難しくなる
  • SaaS事業の赤字が長期化する可能性がある
  • 本社共通費用、税金、株式報酬などを精密に反映した評価ではない
  • 現金・負債や発行済株式数は決算ごとに変化する
  • 株価は業績だけでなく、市場全体の需給や投資家心理にも左右される

特に20倍という倍率は、フィックスターズの技術力と今後の成長をある程度織り込んだものです。安全側の評価ではない点は意識しておく必要があります。

私の見方

今回の試算では、フィックスターズの1株価値は約2,430~2,530円となりました。

比較用株価2,184円はすべてのシナリオを下回っていますが、SaaS事業を高く評価したから割安になったわけではありません。主な理由は、Solution事業に20倍を適用したことです。

したがって、投資判断で最も確認したいのは次の点です。

  • Solution事業が今後も利益成長を継続できるか
  • 高い利益率を維持できるか
  • 20倍の評価に見合う成長性があるか
  • SaaS事業の赤字が縮小し、将来の収益源に育つか

私は、フィックスターズを単純なPERだけで判断するよりも、現在利益を生んでいるSolution事業と、先行投資段階のSaaS事業を分けて見るほうが、企業の実態を理解しやすいと考えています。

一方で、今回算出した約2,470円をそのまま目標株価とするのではなく、今後の決算で20倍という前提を維持できるか、継続して確認する必要があります。

確認した資料

情報確認日:2026年8月9日。本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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