結論上方修正を伴う好決算ですが、好材料は株価に相当程度織り込まれた可能性があります。
注目点精密減速機の受注回復と、鉄道・航空など各事業の利益改善が続くか。
最大のリスク期待先行で上昇した後に、受注や利益回復が市場予想へ届かないことです。
私の判断現在は保有していません。株価が調整する場面があれば打診買いを検討します。
ナブテスコが2026年12月期第2四半期決算を発表しました。
売上高・営業利益ともに大きく伸び、通期業績予想も上方修正されています。さらに、自社株買いと取得株式の消却も発表され、数字だけを見れば好決算といえる内容でした。
一方、決算発表後の株価もすでに上昇しています。今回は、決算のどこが評価されたのか、成長期待は現在の株価にどこまで織り込まれているのかを整理し、今後の投資判断を考えます。
なお、事業内容やフィジカルAIへの期待については、前回のナブテスコ分析記事で詳しく整理しています。今回の記事では、その後に発表された第2四半期決算を踏まえて投資判断を更新します。
この記事で分かること
- ナブテスコの第2四半期決算のポイント
- 業績予想が上方修正された理由
- 精密減速機事業の回復状況
- フィジカルAIが現在の業績に与えている影響
- 好決算が株価にどこまで織り込まれたか
- 私が打診買いを検討したい株価水準
結論:好決算だが、現在値では追いかけない
今回の決算によって、ナブテスコに対する見方は前回の分析時より改善しました。
通期EPSの上方修正により、以前ほど割高感はありません。また、主力の精密減速機では受注と稼働率が回復しており、業績の方向性は明らかに上向いています。
ただし、足元の株価には今回の好決算と既存需要の回復がある程度織り込まれたと考えます。
私は現在ナブテスコを保有していません。4,900円前後では無理に追いかけず、今後株価が調整する場面があれば打診買いを検討したいです。
第2四半期は増収・大幅増益
2026年12月期上期の主な実績は次のとおりです。
| 項目 | 上期実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,674億円 | 16.8%増 |
| 営業利益 | 158億円 | 72.4%増 |
| 営業利益率 | 9.5% | 前年同期6.4% |
売上高の伸び以上に営業利益が増え、利益率も大きく改善しました。単に売上規模が拡大しただけではなく、主力事業の稼働率上昇によって利益を出しやすい状態に戻りつつある点が重要です。
通期業績予想も上方修正
会社は上期の好調を受け、2026年12月期の通期予想を上方修正しました。
| 項目 | 従来予想 | 修正後 |
|---|---|---|
| 売上高 | 3,270億円 | 3,440億円 |
| 営業利益 | 277億円 | 326億円 |
| EPS | 158.72円 | 206.20円 |
営業利益は約18%引き上げられています。EPSの上方修正は株価評価にも大きく影響します。決算前と同じ株価でも、利益予想が増えればPERは低下するためです。

精密減速機の回復が成長をけん引
今回の決算で特に注目したいのが、産業用ロボットなどに使われる精密減速機です。
精密減速機事業の上期実績は、売上高455億円、営業利益48億円、営業利益率10.6%でした。受注高も480億円まで回復しています。
中国・韓国での自動車関連設備投資、工作機械、半導体製造装置向けの需要などが業績を支えました。受注が増えると生産設備の稼働率が上がり、固定費負担が軽くなります。その結果、売上高以上に利益が伸びやすくなります。
今回の大幅増益は、この回復サイクルに入った可能性を示しています。

現在の好業績とフィジカルAIは分けて考える
ナブテスコは、ロボットや自動化設備の関節部分に使われる精密減速機で高い競争力を持っています。今後、人型ロボットやフィジカルAIが普及すれば、精密減速機の需要が長期的に拡大する可能性があります。
ただし、今回の好決算を「フィジカルAI関連の需要が本格化した結果」と考えるのは早いでしょう。足元の業績をけん引しているのは、既存の産業用ロボットや自動車、工作機械、半導体製造装置向け需要の回復です。
つまり、現在の利益を支える既存の自動化需要と、将来の成長余地となるフィジカルAI需要は分けて考える必要があります。フィジカルAIは魅力的な長期テーマですが、現段階では将来への期待として評価するのが妥当です。

好決算の中で注意したい点
今回の決算は全体として良好ですが、利益の伸びをすべて恒常的な実力と判断するのは危険です。
利益改善には、販売数量の増加や稼働率上昇だけでなく、為替の影響や一部費用の発生時期、持分法投資利益なども関係しています。
- 精密減速機の受注回復が継続するか
- 工場の稼働率と利益率がさらに改善するか
- 為替効果を除いても利益成長を維持できるか
- 下期に費用が集中しないか
- フィジカルAI関連の具体的な受注が示されるか

自社株買いと増配も株価を支える
ナブテスコは、上限150億円・400万株の自社株買いを発表しています。取得した株式をすべて消却する方針であるため、1株当たり利益の向上につながります。
年間配当予想は82円です。配当利回りだけを見ると高配当株とはいえませんが、DOE3.5%を目安とする株主還元方針と自社株買いは、株価の下支え材料になります。

好決算は株価にどこまで織り込まれたか
決算発表前の7月30日の終値は4,337円でした。その後、株価は決算を受けて上昇し、8月7日の終値は4,910円となっています。決算前から約13%上昇した計算です。
修正後EPS206.20円を基準にすると、4,910円での予想PERは約23.8倍です。予想配当82円に対する配当利回りは約1.67%となります。
| 株価 | 予想PER |
|---|---|
| 4,100円 | 約19.9倍 |
| 4,300円 | 約20.9倍 |
| 4,500円 | 約21.8倍 |
| 4,700円 | 約22.8倍 |
| 4,900円 | 約23.8倍 |
| 5,300円 | 約25.7倍 |
前回の記事では、PERが30倍を超えており、割高感から様子見と判断していました。今回は利益予想の上方修正によってPERが23倍台まで低下しているため、以前ほどの割高感はありません。
ただし、4,900~5,000円付近では決算後の買いが一巡しつつあり、現在値から買い上がるには次の成長材料が必要だと考えます。
信用買い残には注意
7月31日時点の信用買い残は約137万株、信用倍率は約68倍となっています。
信用倍率が高いのは売り残が少ない影響も大きいため、倍率だけで極端に警戒する必要はありません。ただし、決算後に株価が伸び悩むと、短期的には信用買いの売りが上値を抑える可能性があります。
業績が良いことと、現在の株価がすぐ上昇することは別に考える必要があります。
私が打診買いを検討したい水準
私は現在、ナブテスコを保有していません。今後は次のように考えています。
- 4,900~5,000円:好決算をある程度織り込んでおり、基本的には様子見
- 4,500~4,700円:打診買いを検討
- 4,100~4,300円:業績見通しが変わっていなければ、より魅力的
- 5,300円以上:追加の業績上方修正やフィジカルAI関連の具体的成果が必要
特に4,500円前後まで調整した場合、予想PERは約22倍です。主力事業の回復、自社株買い、フィジカルAIの長期的な成長余地を考えれば、最初の買いを入れる水準として検討しやすくなります。
ただし、一度に予定数量をすべて購入するのではなく、打診買いから入り、その後の受注や決算を確認しながら買い増す方針です。
まとめ
ナブテスコの第2四半期決算は、主力の精密減速機事業が回復し、通期予想も上方修正される好内容でした。前回の分析時と比べると、EPSの上方修正によって株価の割高感も大きく低下しています。
一方、決算後の株価はすでに約13%上昇しており、現在の4,900円前後には既存需要の回復がある程度織り込まれたと考えます。フィジカルAIは長期的な成長材料ですが、本格的な業績寄与はこれからです。
私は現在値を追いかけず、4,500~4,700円程度への調整があれば打診買いを検討します。その後は精密減速機の受注、利益率、フィジカルAI関連の具体的な進展を確認しながら判断していく予定です。
関連記事
ナブテスコの事業内容、精密減速機の競争力、フィジカルAIの長期的な可能性については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ ナブテスコを打診買い。相場は反発も|事業内容とフィジカルAIの成長性を分析
※本記事は個人の分析・見解であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
参考資料・情報確認日
- ナブテスコ「2026年12月期 第2四半期決算短信」
- ナブテスコ「2026年12月期 第2四半期決算説明資料」
- ナブテスコ「2026年12月期 通期業績予想の修正に関するお知らせ」
- ナブテスコ IR資料一覧
- 株価・信用残:2026年8月7日終値および直近公表値
- 情報確認日:2026年8月9日
企業分析で使った基礎知識
この記事で使った指標や分析の流れは、次の基礎記事で詳しく解説しています。


コメント